4月は諸事情で読書する時間がとれたのでした。
何事にも淡々と接して処してきた40代の主人公の女性が末期がんと分かって余命宣告を受ける(というか余命を宣告しろと主治医に迫る)。
早く生きることをやめたいとさえ思ってきたところにこの余命宣告、待ってました!と思っていたが、その病院の帰りに出会った20代のホストにお金を貸すことになる。
そののちこのお金も貸すのではなくこの男を買う代金となるわけだが、このホストの男の事情というか性格もあって、その仲がこじれたりもする。
いや、しかしかたくなな主人公よ、そこは初志貫徹ではないのか、と説教したくなった。
見た目も性格もいいとはいえない男に執着する20代女性の話。
これって執着している自分がスキ!ってことでは。
そこまで人に執着できるこの主人公がちょっとうらやましくて、まぶしかった。
小説としてはいまひとつ好きではない。映画化されている。
昨年話題になった本。
落合博満が中日の監督に就任してからの8年間を、落合、選手、コーチらを取材した内容を著者自身の取材したときの状況も交えて書いたノンフィクションでぐいぐい読ませた。
なるほど落合博満はその経歴を見ても天才であることは間違いはないが、「俺流」と言われたりして本当に理解しているのはお連れ合いの信子さんだけではないのかと思う。
とにかく誤解されがちで、その誤解を本人も解こうとしないのでこういう本で読まないかぎりとてつもない成績を残した中日の8年間の裏事情はわからずじまいだった。
落合博満はプロフェッショナルであり、そのイズムを中日に残した。
今年、本書でも中心選手から代打要員に役割がかわってからも強烈なインパクトを残したと書かれた立浪が中日の監督に就任した。
本書がおもしろかったので、↓この本も買ってみた。
- 分類:小説
- 作者:北大路公子
- 題名:苦手図鑑
- 出版社・レーベル:角川文庫 kindle版
- 評価:★★★★★
エッセイ芸というものがあるのだとしたら、それはまぎれもなく北大路公子がもっているのではないかと思う。
縦横無尽・自由闊達で手練れ、もはや名人芸といってもさしつかえない。
それはまるで亡くなった十代目柳家小三治のまくらにも匹敵する。おそらくこのエッセイの内容を落語家がまくらとしてしゃべったら大うけするだろう。朗読するだけでもうけるはずだ。
ただ読んでいるときはものすごく楽しいのに読み終わると内容がまったく残っていない。
なんだかすごい。