11月だったねー
平安時代にいたとされる風穴と呼ばれる怪しき力をもつ人々の子孫である、イシヨミこと香瑠、ムシヨミの鈴虫、ソラヨミのテルさんと、フリー記者の由阿とその子どもたち(入谷ファミリー)の話。
物語は近未来の日本が舞台で、そこでは観光革命というのが起こって、日本ぽいもの(ジャポい)ものをことさら持ち上げ、景観保護地区がたくさんできている。日本はそうした日本的な景色やおもてなしの精神をボランティアにやらせてインバウンドをたのみにした観光国になっている。
行き過ぎた監視社会になっているということも描かれ、それに抵抗する人たちのひとりとして入谷ファミリーがおり、彼らがカザアナとともに活躍する。
...活躍するんだけど、そして環境破壊や差別問題、領土問題、日米関係など現代につながる問題を巻き込んで大きくふろしきを広げたはいいものの、著者が結局破滅的な結末を望まなかったからか変な(不思議な)終わり方をしていて、いささか消化不良だった。
SFっぽくなりそうだったのに、唐突に話を膨らませるのをやめたような印象をもった。