なんか救いがあるようなないような、いややっぱりないかな。と思ってしまった。
しかし、社会人2年目、12年目、20年目の3人のマリコさんを出して、同じ場面を別の人だとどういうことを考えていたか、という手法はすごく面白いと思った。
2年目の女子社員は若いことしか頼むことがなかったりするが、20年目は20代が思うほど何も考えずに会社で仕事をしてきただけでもないということが分かって、2年目は先輩たちの経験値の高さをうらやましいと思う。
飲み会の座る席をめぐって、12年目の女子社員が20年目の女子社員に対して「おい、こらババア」と心の中で毒づくのには辟易したが、12年目の女子社員だって35歳で決して若いとはいえない。あとになってあと何年かしたら会社の若い人に自分もババアって呼ばれるんだしな、と思ってもいる。20年目は12年目の気持ちをわかっていてあとで席を代わる。
若い人の中にはは若さだけで何かと中高年にマウンティングしたがる人がいるが、いずれみなババアやジジイになるんだよね。想像力が足りないよ。
若い人はあなただけではないのだ。世の中で一番若いのは今日生まれた子どもだよ。
このコミックに出てくる3人が働く会社は決して男女どちらもが働きやすい会社ではない。むしろこの日本にある大半の会社のように見える。
産休はとりづらそうだし、男子社員は女性初めての部長を「おばさん部長」と陰口をたたいたりする。
そんな会社やそこで働く人たちが古臭い考え方や制度をすぐに変えることはないだろう。でも、変わるかもしれない。いや変わらないかも。
ラストの数ページはちょっといい場面かなと思わせときながら、残念でした、そんなことあるわけないじゃん、と期待のはしごをはずす作者のやりかたに、わたしはちょっとがっかりもしたし、自分になぞらえたらまあそれも仕方ないかなとも思ったのだった。
- 作者: 益田ミリ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/07/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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