物語消費しすぎ地獄へようこそ

何かしら作られたもの、作られてしまうもの=物語を消費せずに一日を終われない。

アマルフィ

映画『アマルフィ 天使の報酬』のプロットを元に書かれた小説で、映画のWikipediaのページを見るとかなり設定やらいろいろ違っているのがわかる。

小説は、外交官の黒田康作がまるで刑事のように活躍するエンタメ。
キャリアウーマンの女性が9歳の娘とイタリアに旅行に来たが、ホテルで娘が誘拐される。おりしも日本の外務大臣のイタリア訪問と時期が重なっていた。当初外相のお世話役の領事として派遣された黒田が、邦人誘拐のほうにかかりきりとなる。

この黒田が、事件に巻き込まれた女性の夫役として移動に同行したりするんで、
「ほーん、それじゃ、黒田とこの女性の間にラブが芽生えるわけね」
と思いながら読み進めたわけだが、そんな展開は...

映画の主演が織田裕二だからなのかなんなのか(当て書きみたいなものなんで、どうしても小説を読んでても黒田は織田裕二になってしまう)、いやハードボイルド風なんでラブ要素は要らないのか。警察小説だと事件の発端・捜査から事件解決といった職務を全うしようとする刑事の活躍だけの描写で満足するのに、主人公が刑事以外の事件ものだとなぜかラブ要素を期待してしまうのであった。

不満があるとしたら、登場人物の容貌や服装など外見についての記述が少ないことだ。黒田の身長がどのぐらいで、どんなスーツを着てアマルフィの街を駆け回ったかしりたいじゃないか。

小説の続編は
天使の報酬 外交官 黒田康作 (講談社ノベルス)』『アンダルシア 外交官 黒田康作 (講談社ノベルス)』とあと2作出ている。