物語消費しすぎ地獄へようこそ

何かしら作られたもの、作られてしまうもの=物語を消費せずに一日を終われない。

ダス・ゲマイネ

  • 分類:小説 (kindle)
  • 作者:太宰治
  • 題名:ダス・ゲマイネ
  • 評価:★★★★☆

ドイツ語「Das Gemeine」とはGoole翻訳によると「共通」という意味だそうだ。

佐野次郎左衛門とは「私」に馬場がつけたあだな、「さのじろ」とも呼ばれる。
この「私」は太宰自身かなと思ったら太宰治も出てきた。
馬場は音楽学校の学生だというが、抱えているヴァイオリンケースの中身はからっぽというでたらめさ。また佐竹という絵描きも出てくる。馬場は佐竹によると大ウソつきで、「私」が信じたことも嘘だと断じる。荒城の月の話も傑作だ。
雑誌を創刊しようと4人で画策するがそれも流れる。

4人の会話が妄想っぽくて変。でもなんか癖になる変さ加減。
ポップな文体に絶望的な気分にもなる。

自意識過剰というのは、たとえば、道の両側に何百人かの女学生が長い列をつくってならんでいて、そこへ自分が偶然にさしかかり、そのあいだをひとりで、のこのこ通って行くときの一挙手一投足、ことごとくぎこちなく視線のやりば首の位置すべてに困じ果てきりきり舞いをはじめるような、そんな工合いの気持ちのことだと思う